越前和紙の抄き方とは?伝統技法で作る日本の手漉き和紙
日本の伝統工芸のひとつである「越前和紙」その美しさと丈夫さは、職人が長い歴史の中で培ってきた技術によるものです。
越前和紙の抄き方には、いくつもの工程があり、細部にまでこだわりが詰まっています。
本記事では、越前和紙の歴史から抄き技法、さらに現代での活用まで詳しく解説します。
この記事でわかること
・越前和紙の抄き方
・越前和紙とは

日本で1番古い和紙の産地です

紙の神様が祀られている唯一の産地です
クリックできる目次
越前和紙 抄きの歴史と伝統
よく見る卒業証書。
— 山次製紙所 (@yamatsugiseishi) February 2, 2021
機械抄きのものも多いですが、
山次製紙所では、手漉きで行っています。
伝統的な越前和紙の技法ひっかけで、光沢のある鳳凰枠を表現。
その中に、楮を粗く砕いた雲竜を散りばめることでさらに光沢が増し、高級感がでます。

※ムービーもぜひご覧ください! pic.twitter.com/hvfD0PcfF8
越前和紙の起源と発展
越前和紙の歴史は、1500年以上前に遡ります。
奈良時代にはすでに紙漉きが行われていたとされ、平安時代には貴族や寺社で使用される高級紙として発展しました。
特に「奉書紙(ほうしょし)」と呼ばれる和紙は、優れた品質から公文書にも使われていたほどです。
江戸時代になると、越前和紙は幕府の「御用紙」として指定されました。
奉書紙(ほうしょし)

その結果、日本全国にその名が広まり、さらなる発展を遂げます。
現在も職人たちによって伝統技法が受け継がれ、高品質な和紙が作られています。
職人が守る伝統技法
越前和紙は、機械生産ではなく、職人の手作業によって作られています。
特に「流し漉き」という技法は、熟練した技術が求められる高度な手法です。

一枚の紙を仕上げるまでに多くの時間と労力を要しますが、その分、耐久性と美しさを兼ね備えた和紙が生まれます。
現代では、伝統技法を守りながらも、新たな和紙製品の開発が進んでいます。
例えば、インテリア用の和紙や、書道用の特別な紙など、用途に合わせたさまざまな和紙が作られています。

伝統を継承しつつ、新しい挑戦を続けることで、越前和紙はさらに進化しているのです。
越前和紙 抄きの材料と道具

和紙の主な原料
越前和紙の原料には、主に「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」が使われます。
それぞれの繊維の違いによって、和紙の風合いや強度が変わるのが特徴です。
和紙の主な原料
原料 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
楮(こうぞ) | 繊維が長くて強い | 書道紙・公文書 |
三椏(みつまた) | しなやかで光沢がある | 印刷用紙・障子紙 |
雁皮(がんぴ) | きめ細かく高級感がある | 美術紙・高級文書 |
楮は丈夫で破れにくいため、書道用紙や版画用紙によく使われます。
一方、三椏はなめらかな質感が特徴で、和紙の名刺や封筒などにも適しています。
雁皮は高級感のある紙を作るのに向いており、美術作品や古文書の修復にも使用されます。
かこんばんは〜⭐️
— 【さくらいと】朝日奈 花子 (@KAKO_sakulight) November 19, 2022
本日は越前和紙の材料ともなっている『楮(こうぞ)🌳』の収穫をに行ってきました✨
蒸したらスルスル〜と向けていくのがすごい!
そしてめちゃくちゃいい香り❤️
さつまいものような香りが食欲をそそりました…🤤
この子達は一体どんな和紙になるのか楽しみですね!#さくらいと pic.twitter.com/n4izMTE2fY
和紙作りに必要な道具
和紙作りには、いくつもの専用道具が必要です。
代表的なものを紹介します。
和紙作りの道具
道具名 | 役割 |
---|---|
漉簀(すきす) | 繊維をすくい上げる道具 |
漉舟(すきぶね) | 紙料を混ぜるための大きな桶 |
ネリ | 水と繊維を均一に混ぜるための粘液 |
木枠 | 漉簀を支える枠 |

特に「ネリ」は、紙料が均等に広がるようにするために欠かせません。
トロロアオイの根から作られ、職人は気温や湿度に応じて量を調整しながら使用しています。

このように、伝統技法には細かな工夫が取り入れられているのです。
越前和紙 抄きの工程と技法
原料の処理と繊維の準備
和紙作りは、原料となる楮(こうぞ)や三椏(みつまた)などの繊維を丁寧に処理することから始まります。
まず、木の皮を剥ぎ、不純物を取り除いた後、「煮熟(しゃじゅく)」という工程でアルカリ性の薬剤を使い繊維を柔らかくします。
この処理が不十分だと、紙の仕上がりにムラが出たり、硬くなったりする原因になります。
煮熟した繊維は、水にさらして余分な成分を除去し、叩いて繊維をほぐします。
この作業を丁寧に行うことで、繊維が均等に広がり、なめらかで強度のある和紙が作られるのです。
職人は紙の用途に応じて、繊維の状態を見極めながら作業を進めます。
紙漉きの技法
越前和紙の抄きには、用途に応じてさまざまな技法が使われます。
代表的な技法として「流し漉き」「溜め漉き」「流し込み」「ひっかけ」の4種類があります。
【越前和紙 紙漉き職人~限りなき表現に魅せられて~】https://t.co/TCjL57wNbP
— 明日への扉 by アットホーム (@AthomeTobira) August 22, 2024
金型を使って模様をつける技法「引っ掛け」。
型を原料の中に沈めるとエッジに繊維が引っ掛かり、それを紙に転写することで模様が浮かび上がる。#越前和紙 #紙漉き職人 #古澤花乃 #福井 #越前市 #明日への扉 pic.twitter.com/jcDCX8xEz3
紙漉きの技法
技法名 | 特徴・工程 |
---|---|
流し漉き | 水に溶かした紙料に「ネリ(トロロアオイ)」を加え、漉簀(すきす)ですくい上げる。漉き舟の中で前後左右に揺らしながら繊維を絡ませ、層を重ねることで厚みを出す。最後に水を払って表面を整える。 |
溜め漉き | ネリを使わず、水と紙料のみで漉く。金網ですくい上げた後、素早く揺らして繊維を絡ませる。一度の作業で紙を作るため、流し漉きとは異なる風合いになる。 |
流し込み | 紗の上に模様を型どった金属枠を置き、色をつけた紙料を型の中に流し込む。その後、別の紙の上に伏せることで模様を移す。 |
ひっかけ | 金属枠を三椏の紙料がある水槽につけ、枠に紙料を付着させる。これを紗の上に写し取り、さらに別の紙に模様を移す技法。 |
流し漉きは、越前和紙の代表的な技法であり、繊維が均一に絡み合うことで丈夫な紙が作られます。
一方、溜め漉きは、一度の動作で紙を作るため、紙の表面に独特の風合いが生まれます。
流し込みやひっかけは、装飾や模様を施す際に使われ、デザイン和紙の制作に適した技法です。
乾燥・仕上げの工程
紙を漉いた後は、乾燥と仕上げの工程に進みます。
乾燥方法には、昔ながらの「板干し」と、現代的な「乾燥機」の2つの方法があります。
板干しは、和紙を木の板に張り付け、自然乾燥させる伝統的な手法です。

ゆっくりと水分を抜くことで、紙の繊維が均等に馴染み、独特の風合いと強度が生まれます。
特に、書道用紙や美術用紙などの高級和紙は、この方法で仕上げられることが多いです。
一方、乾燥機を使う方法は、大量生産向きであり、短時間で均一に乾燥させることができます。
商業用の和紙や日用品向けの和紙では、乾燥機が使われるのが一般的です。

乾燥が終わった後、職人が一枚ずつ紙の表面を確認し、仕上げ作業を行います。
ここで紙の余分な部分を取り除き、表面を整えることで、均一な品質の和紙が完成するのです。
越前和紙 抄きの魅力と活用
【#日本ブランド発信事業】
— 外務省 (@MofaJapan_jp) November 11, 2019
越前和紙問屋を営む杉原吉直さんを #ポーランド と #アラブ首長国連邦 に派遣。「和紙ソムリエ」として #和紙 の職人と様々な使い手との間を結び,和紙の用途をオーダーメイドでインテリアやデザインにも広げる,工芸の新しい取り組みを発信しました。 pic.twitter.com/AWMJ7nCbe8
伝統工芸としての価値
越前和紙は、日本の伝統工芸のひとつとして高く評価されています。
その技術は1500年以上にわたり受け継がれ、手漉きならではの風合いと強度が特徴です。
特に、美術品や書道用紙としての価値が高く、国宝級の文化財修復にも使用されています。
また、越前和紙の技法は「重要無形文化財」にも指定され、日本の文化を支える貴重な技術のひとつです。

現代における活用事例
近年、越前和紙は伝統的な用途だけでなく、さまざまな分野で活用されています。
例えば、和紙を使ったインテリアや照明、名刺、包装紙などが人気を集めています。
特に、和紙のランプシェードは、柔らかな光を演出するアイテムとして、ホテルや店舗のインテリアに採用されています。

また、越前和紙は海外でも注目されており、フランスのアート市場では版画や水彩画の紙として使用されています。
さらに、サステナブルな素材として環境意識の高い層にも支持され、新しい活用方法が模索されています。
まとめ
越前和紙は、1500年以上の歴史を持つ日本の伝統工芸です。
職人の手による丁寧な抄き技法によって、丈夫で美しい和紙が作られています。
また、現代ではアートやインテリアなど、新たな分野での活用が広がっています。

今ではアートやインテリアに使われます
和紙の魅力は、その質感や風合いだけでなく、職人の技と歴史が生み出す価値にあります。
この伝統が次世代へと受け継がれていくことで、越前和紙の美しさはこれからも輝き続けるでしょう。